2023年12月28日
寒さが深まると、「牡蠣」が恋しい季節が訪れます。店頭に並ぶ牡蠣に惹かれて思わず手に取ってしまった…皆さんにも経験があるのではないでしょうか。 現在、1年中牡蠣を楽しめるお店が増えており、牡蠣の人気はますます高まっています。 そんな中、大阪で「冬の旬のシーズンだけ営業」する「かき小屋本舗」というお店があるのをご存知でしょうか? 「本物のかき小屋」がコンセプトのかき小屋本舗は、新鮮な牡蠣を提供するため、市場を介さずに直接漁港から仕入れを行っているそうです。 そこで今回は、かき小屋本舗の仕入れ現場に注目し、牡蠣が漁港からお客様の手元に届くまでの舞台裏に密着しました!
目次
「かき小屋本舗」は、新鮮な牡蠣を自分で焼いて楽しむ「体験型」の牡蠣小屋です。ぷりぷりで鮮度の良い牡蠣を心行くまでいただくことができる、牡蠣好きには溜まらないスポットです!
冬の寒風が海を吹き抜ける季節になると、広島県や福岡県の糸島など、牡蠣で知られる地域では「カキ小屋」が期間限定でオープンします。ここでは、水揚げされた新鮮な牡蠣を、炭火で焼いたり、生牡蠣などの様々な形で味わうことができます。海の恵みを直接感じられるこの場所は、地元民はもちろん、観光客や外国人旅行者にも、幅広い年齢層に人気です。
かき小屋本舗では各地の牡蠣が仕入れられていますが、主に取り扱われているのは瀬戸内海に浮かぶ宮島の牡蠣です。今回、私たちはかき小屋本舗の代表、古川正明さんの案内の元、宮島の仕入れ現場を見学させていただきました!
瀬戸内海を横断するフェリーは穏やかな波を切り、宮島へと進みます。この海域は、静けさと美しい海の色が印象的です。古川さんによると、 「海の清潔さは、牡蠣の育成に不可欠です。宮島の水質は、牡蠣にとって理想的な環境になっていて、それが最終的に牡蠣の品質に大きく影響しているんです。」とのこと。
広島の牡蠣養殖の歴史は約450年にも及び、宮島での養殖は約330年前に始まったと言われています。長い歴史を通じて、質の高い牡蠣が育てられてきたことが感じられます。
海を眺めると、数多くの牡蠣筏(かきいかだ)が設置されていました。その下には、垂下連(すいかれん)と呼ばれる、種カキが付いたホタテ貝の殻に通された針金が長さ約9メートルにも渡って伸びており、覗いてみると、牡蠣がびっしりと付いている様子が分かります。 牡蠣の幼生はホタテ貝の殻に付着し、潮の満ち干きを経験して、丈夫で強い牡蠣へと成長します。この過程は「抑制」と呼ばれ、牡蠣は1年間は浅瀬の抑制棚で過ごした後、2年目には海に移されて本垂下(ほんすいか)という工程を経てさらに大きく育ちます。 牡蠣は種の養殖から収穫まで、なんと2~3年を要するそうです。
この長期間にわたる緻密な養殖過程には、「おいしく、大きな牡蠣を届けたい」という、生産者の手間ひまと愛情が込められています。
漁港に到着すると、多数の舟が波に揺られている光景が広がっていました。水揚げ作業は早朝から始まるとのことで、私たちは翌日の早朝から水揚げに同行させていただきました。
クレーンで牡蠣がびっしり付いた約10メートルの垂下連を水揚げする様子は、まさに圧巻!船上で牡蠣の垂下連の下部を切ると、牡蠣が船上に落下し、その後鍬で掻いてベルトコンベアーに乗せ、洗浄機へと運ばれます。水揚げされた牡蠣は、すぐに陸の作業場へと運ばれます。
「自ら何度も現地を訪問して、牡蠣を吟味してきたんです。だからこそ、私たちの牡蠣の味には自信があります!」と語る古川さん。水揚げされた牡蠣を真剣にチェックする古川さんの横顔は、まさに職人のようです。
宮島から届いた新鮮な牡蠣は、作業場で次のステップへと進みます。この日、作業場では牡蠣養殖業に従事するみなさんが、熱心に仕分け作業に取り組まれていました。 水揚げされた牡蠣は最初に洗浄機で洗われ、その後、スタッフが一つ一つ手作業で細かく付着物や汚れを取り除きます。洗浄された牡蠣はベルトコンベアーを通じて作業場内の浄化プールへと運ばれます。
浄化プールでは、牡蠣に酸素を与えて約1日置きます。この時間を通じて牡蠣は体内の不純物を排出し、より清潔で安全なうえ、臭みもないおいしい状態に仕上がります。この手間暇をかけた工程が、かき小屋本舗の牡蠣の品質を高めています。 この手間を惜しまない工程と生産者の熱意が、かき小屋本舗の牡蠣を特別においしい逸品に仕上げています。
かき小屋本舗の牡蠣は、古川さんが全国各地の牡蠣漁港を訪れ、最高の牡蠣を選び出すことから始まります。 「広島湾は、太田川を始めとする多くの河川が流れ込んでおり、これらの河川は植物プランクトンを増やす栄養塩が豊富に含まれているんです。さらに、宮島周辺は自然環境が豊かで、これが美味しい牡蠣を育てる重要な要素となっています。宮島の牡蠣は、殻のわりに身が大きくぷりっとして、味がとても濃厚なんですよ。」と古川さんは説明します。
また、一般的には牡蠣の仕入れは市場を経由しますが、その過程で時間がかかり、牡蠣の鮮度が低下する可能性があります。かき小屋本舗では、そのような時間の経過を避けるために漁港直送にすることで、牡蠣の鮮度を最大限に保ち、本場の味を提供しているとのこと。 古川さんの現地訪問によって、生産者の顔が見えることも、品質の高さと安心感に繋がっています。
〒546-0022 大阪府大阪市東住吉区住道矢田6-14-9
〒550-0001 大阪府大阪市西区土佐堀3丁目5 ぽんぽん船 船着場内
今回の取材では、かき小屋本舗の丁寧な仕入現場に密着しました。取材を通して、かき小屋本舗で新鮮な牡蠣を提供できる理由は、牡蠣に適した環境、厳格な品質管理、そして熱心な取り組みの結果であるということが分かりました。 宮島をはじめ、全国のさまざまな地域から直送される新鮮な牡蠣は、毎日かき小屋本舗の東住吉本店や牡蠣舟店へ届けられています。これらの牡蠣を、実際の漁場に近い雰囲気のかき小屋で味わうことは、単なる食事を超えた豊かな体験であると言えそうです。 まさに、かき小屋本舗は「本物のかき小屋」であると感じました! 次回は、かき小屋本舗の期間限定かき小屋ができるまでの過程に迫ります!